水墨画を今年から始めようという時に、何を描いてみようか悩むと思います。
その時には、梅などを描いてはいかがでしょうか?
梅は、新春を迎えて最初に咲く花です。梅は古くから縁起の良い花とされ、その意味は、開運という意味も持ち、幸運と長寿の象徴ともされているので、大切な人へ贈る時にも選びたい題材です。まさに、新春に相応しい花ですし、これから初めて水墨画を描くという時にも、梅の花はとても良い題材です。
でも、梅の花は、花弁も多いし、枝も複雑だし、描きづらいのではないだろうか?と、思ってしまうかもしれませんが、そんな事はありません。
コツを掴めば、誰でも素晴らしい梅が描けるようになります。そして、梅の花は水墨画では四君子の一つとして、竹や蘭、菊などと並び、技巧上達に繋がる事になります。
これから水墨画を学ぼうとしている時に、梅の花を描いて、基礎からしっかり学ぶ機会にしましょう。
描きかた
梅の花を描く時に、気になるのはやはり枝から描いた方が良いのか、花から描いた方が良いのかだと思います。
この時に、最初に幹や枝から描きたいと思うかもしれませんが、幹や枝から描くのは、やめた方が良いです。
梅の絵では、まず最初に花の方から描く事が大切です。
なぜ枝ではなく花からなのか。それは、枝から描いてしまうと、花弁の繊細さを描く事がとても難しいからです。
そして、花弁の描きかたにも様々あります。例えば、花弁を一枚づつ描きたいのか、それとも、花弁をぼかしで表現したいのか、その表現方法も大切です。
また、水墨画は墨一色と思われがちですが、顔料を使うという方法もあります。
白梅を描く時には、薄く伸ばした墨で描き、紅梅を描く時には、紅い顔料で表現するのも良いです。そして、花弁を描き終えたら、次に枝を描き入れましょう。
梅の花を描くコツ
花弁を描く時のコツは、梅の花弁の形です。
まず、梅の花をジッと見つめて、その花弁の形を観察しましょう。梅の花弁は、丸みを帯びているのが特徴的です。花弁を描く時には、続けて描くのではなく、一枚づつ独立して描くのがコツです。
そして、五枚の花弁を描いたら、その中央をほんのりぼかすと、より梅らしくなります。更に、雄しべなどを描くのも大切です。雄しべを描く事で、梅の花はより立体的に描く事が出来ます。
そして、枝を描く時は細い部分と、太い部分の描き方は分けるのが大切です。太い部分を描く時には、太い筆で、一気に描くと迫力を出す事が出来ます。その時に、あまり水分がありすぎると幹が滲んでしまうので、要注意です。
先に別紙に描いてみて、墨の濃淡を確認してから、筆を置く事が大切です。
そして、細い枝を描く時には、逆に水分は多目にして、流れるように描くのがコツです。細いだけではなく、しなやかさも大切です。
梅を描く手順
1.全体的なバランスを考える
梅の花を描く前に、まずは全体的なバランスを考えましょう。
空白の部分をどの程度取るのか、また、枝や花弁はどの辺りまで伸ばすのかを、浮かべましょう。また、別紙に下絵を描いておくのも大切です。
2.花弁を描く
そして、まずは花弁を描きましょう。
この時に、花弁を全て同じ大きさにしてしまうとバランスが悪いので、大・中・小と組み合わせる事が大切です。そして、大きな花弁には雄しべを描きますが、中や小の花弁は中央をぼかすだけにしておきましょう。
雄しべの長さも、長いのと短いの、バランスを取りながら描きましょう。
3.枝を描く
花弁を描き終えたら、今度は枝を描きましょう。この時は、まずは太い幹から描くのが大切です。筆を寝かせ、一気に動かし、その幹の太さを表現します。
それから、細い筆で枝を描くのですが、この時に一気に描く事はせず、枝の節々では一度止めてから描く事が大切です。そうする事で、よりリアルな枝を描く事が出来ます。
4.蕾を描く
そして、枝を全て描き終えたら、所々に小さな蕾を描きましょう。
この時は、墨を薄くして、ぼかすように描く事が大切です。
5.梅を描く難しさ
梅を描く難しさは、花弁と枝のバランスです。
花弁が多すぎても、少なすぎてもバランスが取れません。花弁と枝のバランスを取る時には、最初に花弁を描き過ぎない事です。
大きな花弁を決めて、その周囲に中・小の花弁を描いた後に、枝を描き、一度じっくりと見てみましょう。花弁が少ないと感じたら、足りない部分を足して、バランスを取りましょう。
梅の花は、春の訪れを教えてくれる大切な花です。また、どうしても紅梅を描きたいと言う場合は、顔料で描く事もお勧めです。
顔料というのは、水には溶けないインクの原料です。染料とも呼ばれ、絵手紙などではよく使われます。顔料で描く時も、描き方は同じです。
先に花弁を描き、その後で枝を描きます。
梅の花を描く事は、水墨画の技巧を上達させる為にも必要な事です。梅の花を描く事で、細筆の扱いを学び、幹を描く事で太く描く事や、かすれを学びます。