水墨画に依る花として、紫陽花は比較的描きやすいタイプになります。
その紫陽花の花はまとまった量感として示されますので、そのまとまりごとに画面の中の構図制作に加えてください。
そして、紫陽花の花の色が、水墨画では出しにくいのですが、その濃淡に依って、花びらの輝きを表現していきます。これは、水墨画のコントラスト法になります。
そして、その墨のグラデーション効果に依って、ドラマチックにも紫陽花を描くことが可能になります。
描き方
紫陽花の描き方は、その花びらの表現ということにこだわりをみせるとよいです。
これは、紫陽花の花がどのように咲いているかを確認することですし、そして、その花の表現を、墨の淡さによって、どのように表現するかがおおきなポイントになります。
その花の表現を、墨の淡さで表現するには、際かバックの部分を濃色によって表現しなくてはなりません。水墨画は、水彩画とは違うので、実際細い面相筆を多用するものとは違っています。ですから、花の一枚一枚の違いの色を、どのように濃淡で表現するかが争点になるでしょう。
紫陽花の花はよく見ると、その花弁や茎の部分が隠れています。その支柱を中心に、葉がどのように広がるかの、重力の力学を応用してください。その葉の広がりと、花は連動していますので、その花びらの一枚一枚の集中と、一本としての紫陽花の表現が重なるようにして描きます。
コツ
コツとしては、紫陽花の花が広がる様相が、単一的にならないようにすることです。
これは、紫陽花の連花としても、妥当で、紫陽花の花の向きと、そのほかの茎の葉の向きは違う点に着目しなくてはなりません。茎からどのように葉の筋に広がり、それから、花の花弁から一枚一枚の花びらとその一枚のものになっているかを、よく観察してください。それぞれの花びらの一枚が、他の花とどのような応答関係にあるかも、紫陽花をモチーフで組むのであれば、その絵の予定をよく立てておきます。
その紫陽花の花のモチーフを水墨画で描くのであれば、淡いトーンから始めていきます。これは、水墨画の重ね画法というもので、淡いトーンで仕上げることで、紫陽花の可憐な色の鮮やかさを演出するようにします。
黒一色で塗ってしまえば、花とは言えませんので、その輪郭から始めるとしても、その淡さを力量とします
手順
手順としては、紫陽花を描くその花瓶などが絵の構図としてどの位置から来ているかを、まずはじめに確認します。
その茎の様相が、画面の中の線としての構図にどう影響するかをよく考えましょう。そして、水墨画でそれを表現するのであるので、バックとの兼ね合いをよく考えて描きます。
花瓶がどのように、テーブルに設置されているのかの理論的な構造を読み取り、それを基軸に表現します。ですので、紫陽花の花びらが横を向いているのであれば、花瓶の縁にその茎が当たっていることを、よく考えて、想起し、描いていきます。
花びらの具合は、最後でも良いのですが、一つの茎からまとまってどのように生えているのかをよく観察してください。そして、花びらの具体的な精細は、あとで描くようにします。葉のトゲの雰囲気に関しても、最後に描けるくらいに残しておいて、軽く淡い筆の腹で、一気にはらっておきます。
その全体の構成を、先に淡いトーンで描いてから、葉のトゲや先を細密に際立つように表現していきます。
全体として、テーブルに設置しているのか、それとも庭先の紫陽花の一群なのかを意識して描きます。
難しいところ
難しいところは、花の一枚一枚や、葉の形に拘りすぎて、全体としてちぐはぐになる可能性は随時はらんでいます。その為に、全体と細部の関係を、トータルな視点で観るように訓練を積んでください。
それから、水墨画での濃淡の力量が加われば、花を描くことができるようになります。水墨画の濃淡の他には、花びらの一枚一枚や、その葉の繊細な様相を描くのに、線描を得意とする面相筆をうまく活用することです。これは、難易度としても高いですが、面相筆が尖っているだけではなく、その面相筆の吸い込んでいる墨の濃淡にも、そのピンポイントに依るストロングストロークが現れますので、よく注意して描いてください。
大事なのは、全体とのバランスです。そして、バックとの兼ね合いで、引き立つような花の淡さが表れるかどうかも決まってきます。これには、熟練が必要ですが、墨のトーンを細かく認識し細分化して、層別化してください。
そして、その筆のストロークにより、紫陽花の特別な雰囲気が出るようになってきます。
まとめ
紫陽花は、花の中では描きやすい花になります。
花の花弁からの向きもまとまっていますので、その端の詳細に渡って、それぞれの描き方を違ったように加えていけば、その細密な画家の視点がその力量とされます。つまり、花の一枚と葉の一枚の響きに関しても、絵の中の作図に依るバランスが必要になるのです。