水墨画は、奈良時代前後には、中国大陸から日本に伝わった技法です。
水墨画というと、墨で描かれたものというイメージが強いと思います。墨一色の濃淡で対象物の全てを表現出来る水墨画は、他の技法とは異なると考えている人も多いと思います。ですが、水墨画は決して難しい技法ではありません。
コツさえ掴めば、草原を走る馬をも描く事が出来ます。
Contents
馬の描き方
動物の中でも、馬はかなり難しいと思われがちですが、基礎さえ掴めば、誰でも簡単に描けるようになります。
まず、馬を描く時に大切なのが、馬を全体ではなく、骨格で捉えるという事です。
まず基礎となるのは胴体です。そして、その胴体に首や頭部、足、そしてたてがみや尾がついている姿となります。
描き始めは、頭部から描き出すのが理想的ですが、頭の中に馬の全体図だけは常にイメージして描きます。
頭部を描いたら、その首のラインから背のラインを描きましょう。そして、馬の肩を首の延長戦に肩があると思いがちですが、実は馬の肩というのは筋肉質で盛り上がっているのです。そして、胴体、足と描いていきます。
コツ
そして、馬を描くコツは、首の角度です。
よく勘違いしがちなのが、馬の首をまっすぐに描く人が多いのですが、馬の首は斜めに伸びているのです。そして、首回りの肩も同じように斜めに描きます。
そして、馬のもう一つの身体的な特徴は、その細い足です。馬の足を一本で描いてしまう場合が多いのですが、馬の足は関節が多い生き物です。関節をしっかり描く事で、更に馬の良さを引き立たせる事が出来ます。
手順
1.まずは道具の用意から
線描、ぼかし筆、そして細やかな所を表現する面相筆。
そして、墨と水、画用紙を用意しておきましょう。
2.馬の頭部を描く
まずは馬の頭部から描きます。薄い墨を少しづつ濃くしながら、やがて筆は背の方へと伸ばします。
馬の背中は、まっ平らではありません。多少の凹凸を意識しながら描く事が大切です。
そして、どんな馬を描こうとしているかでも、その描き方は変わってきます。例えば、立ったままの馬なのか、それとも走っている時の馬なのか、そのポーズを意識して頭部を描きましょう。
3.胴体を描く
胴体を描く時の注意点は、樽のような胴体にならない事です。
馬を横から見た時に分かると思いますが、馬の胸骨を少しすぎた辺りから、馬の腹部がかなり引っ込んでいて、括れのようになっています。
4.足を描く
そして、馬の特徴でもある、細く筋肉質の足は、かなり重要です。中でも、関節の位置はしっかりと確認しておく事が大切です。
馬の足は四本あるのです。それぞれの関節の位置が違ったら、かなりバランスが悪いですよね。馬の関節がどのようについているのかをきちんと理解して描くのがいいです。
そして、馬だけを描くよりも、周囲の情景も一緒に描く事で、更に馬が引き立ちます。
5.グラデーション
そして、水墨画の魅力は、なんといっても濃淡のグラデーションです。
馬は、輪郭の線をやや濃く描き、内側へとグラデーションを広げて描きます。
6.仕上げ
馬の水墨画を描く時の仕上げは、何といっても、たてがみと尻尾です。
特にたてがみは、風の方向や馬の性格を表現する上でも、かなり重要な部分です。漆黒で描けば雄々しく見えますし、ぼかしで描けば、柔らかく、優しい印象になります。
そして、面相筆で馬の瞳や、関節を細かく描き、馬の生き生きとした姿を描きましょう。
馬の絵の難しいところ
馬の絵で、一番難しいのが全体的なバランスです。
水墨画は、基本的に下書きはしないので、最初のイメージを忘れないようにしましょう。
気を付けなくてはいけないのが、頭部にばかり意識を向けると、足のバランスが悪くなりますし、足の長さばかりに気を取られていると、今度は頭や首のバランスが悪くなり、せっかくの水墨画も綺麗には見えません。
馬の姿を良く観察してみましょう。胴体を三分の一に分けた時に、前足と後ろ足はそれぞれ一番端から伸びています。そして、首の長さと同じぐらいの長さである事。目やたてがみ、尻尾の位置も、細部にまで拘る事が大切です。
水墨画で描く馬は、雄々しく描く事も出来ますし、のどかに過ごしている様子も、自由自在に描けます。そして、風の流れを描く事も出来るので、より馬の絵に躍動感を持たせられるのです。
今まで、水墨画には馴染みがなかった。または、馬の絵には馴染みがなかったという人でもわずかなイメージのコツさえ掴めば、誰でも簡単に馬を描く事が出来るようになります。
水墨画は、線で表現していると思われるかもしれませんが、水墨画は色の濃淡で表現出来る技法です。水墨画で、馬を描くというのは、かなり難しいと思いますが、初めて水墨画にチャレンジするという時には、肩の力を抜いて行う事が大切です。
馬を水墨画で描く事が出来たら、あらゆる動物を描く事が出来るようになります。その為にも、水墨画で馬を描く練習をしましょう。